実務経験2年のエンジニアの市場価値。年数で測られるのは書類の一行目だけ
「実務経験2年 市場価値」で出てくるのは年収相場の一覧ばかりで、2年という数字が選考のどこで効くのかは書かれていません。2年目のエンジニアが転職市場で実際に何を見られているのかを、年数以外の4つの軸に分けて整理しました。

目次
実務経験が2年を超えたあたりで、自分の市場価値を調べ始める人は多いと思います。検索して出てくるのは、年数ごとの年収相場表と「2年あれば転職できます」という結論です。
ただ、その相場表を見ても、たいてい判断できません。同じ「2年」でも提示される年収の幅が大きく開いていて、自分がどこに入るのかは書いていないからです。知りたいのはそこなのに、年数以外の軸が出てこないので答え合わせができません。
この記事では、2年という数字が選考のどこで効いて、どこから先は効かなくなるのかを分けて書きます。
「実務経験2年」が効くのは、書類の通過条件としてだけ
求人票の「実務経験2年以上」は、スコアではなくふるいです。満たしていれば次に進み、満たしていなければ読まれない。それだけの働きをします。
そして、通過したあとの面接で年数の話はほとんど出ません。出るのは「その2年で何をやったか」です。ここで年数は情報量を失います。
年数が条件として効く
- 「実務経験2年以上」を満たすか
- 使った言語・フレームワークが合うか
- 在籍年数が短すぎないか
- ここは満たすか満たさないかの判定
年数はもう見られない
- 何を任されていたか
- どこを自分で決めたか
- 詰まったとき何をしたか
- 同じ2年でも中身で評価が分かれる
つまり、年数を増やすことで上がるのは書類が通る確率で、提示される条件のほうは中身で決まります。2年目で市場価値を上げたいなら、見るべきは3年目を待つことではありません。
2年目を安く見せてしまう4つの状態
同じ2年でも、次の状態に当てはまる数が多いほど、選考で説明できることが減ります。
| 見られる軸 | 安く見られる状態 | 高く見られる状態 |
|---|---|---|
| 任された範囲 | 指示された画面を実装する | 仕様の決定に関わる |
| 判断の数 | 既存の書き方に合わせる | 構成を自分で選ぶ |
| 領域の幅 | 同じ機能の改修だけ | 設計・API・運用まで触る |
| 説明できるか | 作ったものを列挙できる | 選んだ理由を言える |
この表の右側は、どれも年数では手に入りません。2年目でも左側に寄っている人はいますし、5年目でも左側のままの人はいます。同じ年数でも提示額の幅が大きく開くのは、ここが揃っていないからです。
市場価値がそもそも何で決まるのかを先に押さえたい場合は、エンジニアの市場価値を上げる方法のほうが土台になります。
2年目の詰まりは「経験の中身を証明できない」こと
2年目で転職を考える人の多くは、スキルが足りないのではなく、持っているものを選考の場に出せない状態で止まっています。
- 業務のコードは外に出せないので、見せられるものがない
- 職務経歴書に書けるのは担当範囲と技術名までで、判断は書けない
- 設計に関わっていないので、話せる判断がそもそも少ない
- 社内固有のフレームワークや仕組みが多く、外に持ち出せる経験が少ない
上の3つは工夫で埋められますが、4つ目は環境側の問題です。社内固有の仕組みに詳しくなることは、その会社の中では評価されても、外では情報になりません。ここが2年目で「評価されない」と感じる原因になりやすい箇所です。
常駐や受託で同じ詰まり方をしている場合は、SESから自社開発に転職できない本当の理由で同じ構造をもう少し細かく書いています。
2年目のうちにやると効くこと
3年目を待つより、いまの業務の中で取れるものを取るほうが早く変わります。確かめてほしいのは次の5つです。
いまの職場で取れるかどうか
- 01仕様が決まる会議に出られるか(出られるなら、そこで1つ意見を出す)
- 02設計の判断を任される機会が月に1回以上あるか
- 03自分のコードに指摘が返ってくるか(返ってこないなら、それは評価されていないのと同じ)
- 04触っている技術が、転職先の求人票に載っている技術と重なっているか
- 051年後も同じ機能の改修をしている可能性が高いか
5つ目が「高い」で、ほかの4つが取れないなら、環境を変えるほうが早いです。逆に1〜3が取れるなら、いまの職場のほうが材料は増えます。年数は勝手に増えますが、判断の経験は取りにいかないと増えません。

設計に関われないまま2年経ったとき
もっとも多いのがこのケースです。実装は速くなった、レビューでの指摘も減った、しかし設計の判断をした記憶がない。この状態で転職活動をすると、面接の「なぜその構成にしたのか」で止まります。
打ち手は2つしかありません。業務の中で設計の判断を取りにいくか、業務の外で自分が要件から決めたものを1つ作るかです。後者の作り方は個人開発は転職で評価されるのかに、設計そのものが苦手な場合の原因分解は実装はできるのに設計ができない原因に分けて書いています。
正直なところ:2年目の年収は市場の都合でも動く
ここは曖昧にしないほうがいいので書きます。2年目の提示年収は、本人の実力だけで決まっていません。
- その年の採用需要(枠が多い年は未達でも通る)
- 応募先の等級制度(2年目が入る等級の上限がもともと決まっている)
- 現在の年収(提示額の基準に使われることが多い)
だから「2年で年収が上がった人がいる」話も「2年では変わらなかった」話も、どちらも本当です。自分で動かせるのは中身の部分だけなので、相場表を見て一喜一憂するより、上の表の右側を1つ増やすほうが確実です。
スクールを検討している場合も同じで、年数を埋める用途には使えません。この線引きは「プログラミングスクールは意味ない」はどこまで本当かで扱っています。
まとめ
| よくある前提 | 実際 |
|---|---|
| 2年あれば市場価値が上がる | 2年は書類の通過条件。中身で決まる |
| 年数が増えれば選択肢が増える | 判断の経験が増えないと増えない |
| 相場表で自分の位置が分かる | 同じ年数でレンジが広すぎて分からない |
| 3年目を待つのが安全 | 同じ業務のままなら中身は増えない |
実務経験2年のエンジニアが選考で見られているのは、年数ではなくその2年のあいだに何を自分で決めたかです。決めた回数が少ないなら、いまの業務で取りにいくか、外で作るか、どちらかを始める時期だと思います。
JISOUは実務経験者のためのスクールで、受講生は自分のアイデアでサービスを作り、提出したコードに現役エンジニアのレビューが入ります。学んだこととつまずいた点を記事として出すことも受講の前提なので、「自分で決めて、外の基準で見られて、記録が残る」という2年目に不足しがちな3つが同時に埋まります。いまの経験で足りているのか判断がつかないなら、一度外の目を通してみてください。